トミーリー(Tomy Lee、1956年 - 1971年)は、イギリス生産のサラブレッドの競走馬、種牡馬。アメリカ合衆国で競走馬となり、1959年のケンタッキーダービーなどに優勝した。

経歴

出生、幼駒時代

1956年にイギリスで生産された競走馬で、体高は16ハンド(約162.56センチメートル)と大柄で、体重も1000ポンド強あったという。馬体は見栄え良く、また4本の脚すべてに白徴を持っていた。

馬主となるフレッド・ターナー・ジュニアはテキサス州の出身で、本来はタルヤーの産駒を求めてイギリスに出向き、そこで25000ドルで目的のものを購入した。このとき、馬を1頭だけで輸送するのは馬にとって辛いものであるため、帯同馬として6762ドルで購入された幼駒がトミーリーであった。馬名は本来「Tommy Lee」と名付けられる予定であったが、ありふれた名前ゆえに既に使われている可能性を考えて、mをひとつ抜いて登録することにした。

若駒時代

デビューは2歳時からで、カリフォルニア州でハギンステークスやC・S・ハワードステークス、スターレットステークスにデルマーフューチュリティを含む6競走で連勝を挙げる活躍を繰り広げた。特にハギンステークスは8馬身差の圧勝で、またデルマーフューチュリティではロイヤルオービットを相手に3馬身差で勝っている。その後東海岸に遠征し、シャンペンステークスとガーデンステートステークスに出走しているが、ともにファーストランディングの2着に敗れている。

3歳時はやはりカリフォルニアからの始動であったが、年明け初戦のサンヴィンセントステークスでは2着に、続くサンフェリペハンデキャップでも2着に敗れている。しかし続くキーンランド競馬場での7ハロン(約1408メートル)の一般戦ではトラックレコードでの勝利を挙げ、さらに翌戦のブルーグラスステークスでも優勝した。

1959年のケンタッキーダービー当日は72951人の観客が詰めかけた。話題馬シルバースプーンやソードダンサーらも出走するなか、1番人気はファーストランディングが推され、ウィリー・シューメーカーを背に出走したトミーリーはそれに次いで単勝4.7倍の2番人気に支持された。トミーリーはスタートから先行するトロイラスという馬の後ろ2番手につけて進み、その馬が力尽きて後退すると先頭に立った。コーナーに差しかかるところでソードダンサーが詰め寄り、残り2ハロンというところで並びかけられた際には鞍上のシューメーカーも諦めかけたが、トミーリーは再び懸命に走りだし、2頭の激しい攻防が繰り広げられた。2頭はほぼ同時にゴールし、18分ほどの審議と写真判定の結果、トミーリーが勝利をもぎ取った。シューメーカーは後に、残り1ハロンというところで2頭は接触したが、このときトミーリーの手前が変わり、より走りやすくなったことが勝因のひとつだと語っている。

ケンタッキーダービー後はクラシック路線に残らず、西海岸に戻って6月のハリウッドパーク競馬場で行われるシネマハンデキャップへと登録された。しかし鞍上を務めていたシューメーカーが、ターナーの騎乗依頼に応じなかったこともあり、前走で破ったシルバースプーンに敗れて着外へと沈んだ。

ターナーはシューメーカーと彼のエージェントの対応に憤り、抗議の意味を含めてトミーリーを半年の休養にあてた。休養明けは翌年まであと2日まで迫った年の瀬で、ジョニー・ロングデンを鞍上にして6ハロン(約1207メートル)の一般戦で勝ちを挙げた。

その後

4歳になっても競走馬として活動したが、トミーリーは3歳の頃までのような走りを見せられなかった。この年4戦して2勝を挙げるが、年明けのサンカルロスハンデキャップやサンタアニタマーチュリティといったステークス競走では着外に沈んでおり、シーズン前半で引退して種牡馬となった。

ケンタッキー州の牧場で種牡馬入りしたものの、受胎率が非常に悪く、早くも種牡馬失格の扱いを受けた。このため6歳になって競走馬に復帰することになり、復帰から7歳での再引退までに14戦を経験、ステークス競走勝ちこそ無いものの、4勝を挙げた。

引退後は牧場で過ごし、1971年に死亡した。遺骸はレキシントンのピラースタッドに埋葬されている。

評価

主な勝鞍

※当時はグレード制未導入

1958年(2歳) 8戦6勝
ハギンステークス、C・S・ハワードステークス、スターレットステークス、デルマーフューチュリティ
2着 - シャンペンステークス、ガーデンステートステークス
1959年(3歳) 7戦4勝
ケンタッキーダービー、ブルーグラスステークス
2着 - サンヴィンセントステークス、サンフェリペハンデキャップ
1960年(4歳) 4戦2勝
1962年(6歳) 1戦1勝
1963年(7歳) 13戦3勝

血統表


脚注

備考

出典

参考文献

  • The History of Thoroughbred Racing in America [p.531-539] (1964 著者: William H. P. Robertson 出版: Bonanza Books ASIN B000B8NBV6)
  • ケンタッキー・ダービー・ストーリーズ [p.56-58] (1996 原著: ジム・ボウラス 翻訳: 桧山三郎 出版: 荒地出版社 ISBN 4-7521-0098-3)

外部リンク

  • 85th Kentucky Derby - brisnet.com (英語)
  • 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ

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